騎士団の悪役令息は失踪した王女を探す
舞台は帳面と甲冑。書かれた合意が、誰かの運命を左右する。
あらすじ
ユリオは“悪役令息”に仕立て上げられた若き貴族。蒼鋼騎士団や宮廷が演じる断罪の舞台裏で、失踪した王女の行方を追うことを決意する。彼が頼るのは古い写本と一つの技法――関係者全員の同意で制度文書の意味を読み替える「共訳」。仲間のロゼットやハナ、トマスらと共に、書物と証言を手がかりに真実へと迫るが、そのたびにユリオは“選択”を一つ失っていく。王室と騎士団の圧力、偽造と隠蔽、公開と合意の狭間で、誰の意思が現実を決めるのかを問う政治的ミステリ。蝋燭の灯る広間、甲冑の列、修繕された写本といった静かな緊張感が読みどころ。