不死者の宿屋
忘れるか、選ぶか──夜に託す一夜の対話。
あらすじ
宿屋ロレンスの夜を守る宿主カイは、灯明祭の前夜だけ生者と“不死者”が言葉を交わせる場を維持する役目を負っている。客が鍵を預けた部屋に限り「眠れない理由」を一夜の夢景として具現化するが、同時に開けられる部屋は五つまで、宿主は夢に入れない、そして夢が壊れれば記憶が薄れるという重い代償がある。給仕長ベラ、老犬霊バロ、元騎士アニカら仲間とともに、町を監視する軍の干渉や、記憶をめぐる倫理的な葛藤、そして誰も預けようとしない六番目の鍵が示す謎に向き合っていく。選択と忘却の狭間で、当事者たちが意味ある別れと守り方を模索する群像劇。