卒業制作室で成績優秀な落第生は一緒に休むことを覚える
触れるほどに曖昧になる、共同の痕跡と選択の物語。
あらすじ
朝霧透は、共同で制作された物にだけ残る「痕跡」を指先で感じ取る能力を持つ美術系学生。卒業制作を巡り、評価表や公開合評が作品と人間関係を切り刻む学内の制度と、仲間たちが守ろうとする共同制作の時間が衝突する。透は水守蓮や白坂まひるらと共に、展示の在り方や「同意」と「共有」のルールをめぐる選択に直面する。能力は真実の代わりにならない曖昧な手がかりであり、ときに決めつければ痕跡を失わせる危うさをはらむ。公開合評や展示の場、夜を徹して作る制作室の緊張と、仲間たちの関係性の揺れが物語の読みどころだ。