記憶を凍らせる薬師は自分の罪を数え直す
真実を凍らせるほど、彼女から記憶が溶けていく。
あらすじ
港町アルハルを拠点に、当事者の言葉を「凍らせて」記憶を可視化する薬師ユエンは、自らの術が真実を暴く一方で自分の記憶を失わせる代償を負っていた。聖裁庁や王府が記憶を管理・改竄する仕組みと対峙し、仲間たちと改竄文書の暴露や施設侵入を重ねる中で、救済の強制と当事者の合意という倫理的ジレンマに直面する。物語は、証言を束ねる具体的な儀式や凍結された氷像、倉庫や礼拝堂、記録局といった舞台描写を通じて、真実を示す力の光と、その代償が人としての記憶や名を削いでいく過程を描く。ユエンの選択が仲間や共同体の運命に波紋を広げる様子と、記憶と制度が交錯する緊張が読みどころである。