ビデオ怪獣館の館主
光は記憶を取り戻すか、何かを奪うか。映写の代償を抱えた青年の選択。
あらすじ
港町・高辻にひっそりと残る四階建ての古い映写館を相続した青柳昴は、古いフィルムの光で「失われた記憶」を映し出せるが、そのたびに別の記憶が消えるという代償を負っていた。町全体から色や人の輪郭が薄れていく異変の原因は、表向きは映画保存団体を名乗る「還写館」にあるらしい。修復士の佐伯春子、記録係の中村こたろう、調査に動く風間力と白い犬を仲間に、昴は焦げ紋の刻まれたフィルム缶と錆びた鍵を手がかりに、還写館の技術と倫理に抗う。映写という奇跡とその代償、地域の記憶をめぐる謎解き、人々の語りをつなぎ直す営みが交錯する物語。