黒潮砲の潜水士と錆びた王国
合意がなければ動かない──海と鉄が問う、一度きりの代償。
あらすじ
港町に残るのは、錆と油の匂い、そして“黒潮砲”という古びた装置の存在だった。主人公・海緒はかつて深海で働いた潜水士で、黒潮砲を一度使った代償として聴覚や視界の一部を失っている。黒潮砲は「合意」を媒介にして作戦を現実化する力を持つ一方、単独使用や合意のない強制起動は危険をはらむ。避難民や仲間たちと食糧と安全を巡る切迫した判断を迫られる中で、海緒は自分の失った感覚と代償を見つめながら、共同での意思決定と抵抗の道を模索する。読みどころは、海の匂いや錆びた風景を通して描かれる共同体の緊張、黒潮砲を巡る倫理的な葛藤、そして海緒と仲間たちの細やかなやり取りと選択の瞬間だ。