雪鎖の巫女と百鬼城
嘘を裂く左手が、約束の在り方を問い直す。
あらすじ
雪に閉ざされた白綱郷を舞台に、白城ユキネという「声のない巫女」が、自分だけに見える〈嘘の亀裂〉を手がかりに町の異変に立ち向かう物語。年に一度の雪祭りで現れた紙の獣や、城が進める「百鬼鎖」と呼ばれる契約の統合が、人々の記憶や名を奪っていく。ユキネは禁じられた短刀〈結び断ち〉を振るう代償として左手の感覚を失いつつ、城主家の痕跡と母の筆跡を追って北へ向かう。鉄輪を携える少年兵トウマ、山猟師アサギ、契を嗅ぎ分けるスズら仲間と共に、嘘と契約の裂け目を辿るうちに、町と自分の選択を問い直す局面へと導かれていく。雪と墨、朱の札が織りなす和風の幻想譚で、真実を見抜く力とその代償、名を与えることの意味が問われる。