虫使い
羽音は合意を運ぶか、支配を呼ぶか。蜜と記録で森を守る、ひとりの選択。
あらすじ
ミオは村の養蜂師。朝霧の中、羽の欠けた白い蜂と出会ったことをきっかけに、虫たちの羽音を読み取り合図に変える力に向き合う。王都の伐採計画が森を掘り荒らし、井戸の水が変わる異変を村人に伝えるため、彼女は蜜と記録を組み合わせた観測網を築こうとする。だが力には条件があった──自分が世話した虫にしか働かないこと、命令で無理に動かすと群れは散ること、女王を失えば三日間羽音が聞こえなくなること。徴発隊や王家の印が配られる圧力、都へ証拠を運ぶ危険を前に、ミオは蜂を兵器にしないという選択を貫きつつ、村人たちと合意を紡ぎながら森と水を守る方法を模索していく。読者は、合図としての羽音と人々の共同作業、倫理的なジレンマが交錯する過程を見守ることになる。