人形王子
奪われた声を取り戻すため、壊れた人形に願いを吹き込む――痛みを抱えた兄の選択。
あらすじ
工房街の薄暗い倉庫で暮らす青年レオンは、病弱な妹マリアと職人たちの手仕事を守ることを誓う。彼には、壊れた人形や機械に所有者の「言えなかった願い」を吹き込んで動かす力があるが、それを使うたびに深い痛みを負うという代償があった。王太子ルキウスは人々の声を奪い、口覆いの装置で兵を意のままに操ろうとしており、工房街は徴発と監視に囲まれていく。仲間の無口な木工娘ニナ、追放された近衛クレイ、掃除用ゴーレムと共に、レオンは言葉と合意を集めながら「声」を取り戻すために動き出す。外部からの圧力と、自らの力がもたらす倫理的な痛み――その狭間で彼らが選ぶ道と、言葉が呼び覚ます小さな抵抗の瞬間が物語の読みどころだ。