料理の悪役令嬢は後継争いから降りる
匙一つで問う、選ぶことの代価と合意のかたち。
あらすじ
ミリヤは侯爵家の令嬢であり、台所で料理を作りながら継承をめぐる家と廷の仕組みに疑問を抱く。ある朝、焦げた一品が公の断罪劇の引き金となり、彼女は公に継承放棄を宣言する。以降、台所や広場、法廷といった場で「皿を介した合意」を重ね、古い条文の読み替えをめぐる交渉と審問に挑むことになる。仲間の料理人や下働き、書記や若き支持者たちと共に、料理を言葉に変える儀式、封蝋つきの文書、裁判の場面が交互に描かれ、個人の意思と制度の圧力がぶつかるさまが物語の核だ。ミリヤが払う「代償」と、食卓を通して新しい合意の場をつくろうとする試みが読みどころになる。