月面ボウリングの挑戦者
月面の技術と選択が、ひとつの街を揺らす。
あらすじ
白石潮は月面ドームに馴染んだ投擲型局所重力制御の使い手。月面ボウリング用に作られたグラビティボールと視覚化装置を使い、観客の前で鮮やかな技を見せる一方で、投球の代償として内耳に深い障害を抱えている。アリーナでの公開デモや配分委員会をきっかけに、潮と仲間たちはトモノという自律ログや外縁から届く「K系列」の署名が示す不穏な痕跡を突き止め、住民が知らされていない抽選アルゴリズムの仕組みと、それをめぐる外部勢力の介入の真実を明らかにしようとする。物理的証拠の回収、遠隔ドローンの投入、公開公聴会と投票──スポーツとしての競技性と技術的・政治的な争点が絡み合う中で、潮は自分の身体的限界と住民を守る責務の間で選択を迫られる。緊張感あるサスペンスと、仲間たちとの連帯、技術と倫理の葛藤が読みどころだ。結末の核心には触れずに、真相へ向かう過程の緊迫を提示する。