山岳救助犬の訓練士
犬の残像が示す尾根と、守るべき倫理。
あらすじ
結城澪は山岳救助隊「白梟」に属する訓練士。彼女は訓練犬の肩甲部に掌を当てることで、犬が嗅ぎ取った光景の「視残」を短く共有する特殊な技術を扱う。雪深い尾根で犬たちが示した断片と、老松の根元で見つかった金属片が結びつき、企業が山で進める謎の実験「K‑17」に白梟が巻き込まれていることが浮かび上がる。澪は犬の安全を最優先にしながら証拠を集め、仲間とともに現場潜入や法的手続きを並行して進める。読みどころは、極限の捜索行動と、犬の感覚を媒介にして暴かれる断片的な記憶、そして救助の倫理をめぐる葛藤だ。尾根の奥に残るさらに深い問いが物語の中心に控える。