天文台で未来を怖がる恋人たちは同じ夢を選び直す
触れて残るのは、二人だけの痕跡。
あらすじ
天文台の暗いドームで、ミナトとアヤは「同じ夢を選び直す」ために二人で物を作ることを続けている。彼らが作る模型や箱には、同時に触れた者だけに残る「痕跡」が宿り、ミナトはそれを鋭く感じ取ることができる。しかし街は人々の選択を数値化する評価システムや制度の圧力に満ち、展示の映像漏洩や監査、役人や企業の介入が二人の場所とやり方を脅かす。仲間たちと手を合わせ、夜ごと削り・塗り・縫う細やかな共同作業の中で、彼らは公開か保護か、抵抗か妥協かといった選択を迫られる。触覚や匂い、温度差といった繊細な描写が積み重なる中で、二人が守りたい「選べる場」と互いの関係が少しずつ揺らいでいく様が描かれる。