摩天楼の空中競技者
風は線になる。見るほどに、何かを失う。
あらすじ
アエラシティの空を駆ける元ジュニア王者、空転マコトは、高速で風圧に晒されると“風の線”が視える特殊な能力を持っている。しかしその代償は耳鳴りと記憶の欠落で、能力を使うたびに何かを失っていく。リコやセン、ニコラ、アマネら仲間とともに、街の空域で不自然な残留波と刻印の痕跡を追ううちに、大気を制御しようとする装置群と改竄されたログの存在が浮かび上がる。競技の舞台となる摩天楼のスタジアム、忘れられた送風塔群、地下の試作室──公的な審議と市民の声が交錯する都市で、彼らは証拠を掴み市民を守るために動く。レースの速度でしか現れない視覚と、技術的な陰謀、仲間との信頼と犠牲が交錯する物語。結末を明かさず、真相へと迫る緊張と人間ドラマが読みどころ。