時間花の花屋
名を呼び、記憶を育てる小さな花屋の物語。
あらすじ
透真(トーマ)は温室で夜間管理をしていた二十七歳の青年。閉園後に見つけた季節外れの白い花が母の声を呼び戻したことをきっかけに、刻花が並ぶ屋根町と“環庭”と呼ばれる時間の庭に関わることになる。店は記憶を巡る取引と守護の現場となり、セナやガルド、紙芝居師のミオラ、暦守のヴァルネといった仲間とともに、奪われた記憶を取り戻すための方法を探る。だが記憶を返すには代償があり、透真は売るか守るかという選択を繰り返し迫られる。静かな儀式、瓶に閉じた呼び声、地下に広がる根と花の光景──個人の記憶と街の時間が交錯する中で、彼が下す決断とその影響が読みどころです。