離島の診療所で離婚相談を受ける新人は故郷に帰る理由を探す
手の触れた木片が、選ぶことの意味を問いかける。
あらすじ
離島の小さな診療所に赴任した新人診療所員・夏川蒼は、傷の手当てだけでなく住民の離婚相談や共同体の問題に巻き込まれていく。彼には、二人で作った物に残る「痕跡」を感じ取る力があり、それを手がかりに当事者たちの時間や関係の断片を覗くことができる。しかしその力は、使えば使うほど代償を伴い、関係を固定化してしまう危険もある。町役場や外部の評価制度は診療所の役割を数値化しようとし、蒼は制度との対立、仲間たちとの合意形成、そして自分が故郷へ帰るべき理由を探すという選択に直面する。共同制作のワークショップや港町の四季折々の人々の暮らしを通じて、彼は「証拠」と「当事者の選択」をどう守るかを問われることになる。