靴屋
片方の赤い靴が、言葉で道をつむぐ。
あらすじ
カナタは義足職人として暮らす、迷宮のように夜ごと形を変える街の小さな靴屋の主人だ。店に残された片方だけの赤い子ども靴をきっかけに、孤児院の子どもたちを国境側の検問や徴税の管理から救い出す仕事に関わることになる。彼の作る靴は、履き手が心から言葉で行き先を告げたときだけ安全な足取りを記憶するが、使うたびにカナタ自身の足に重い代償が積み重なる。星印の台帳や役所の介入といった制度的な圧力、言葉を取り戻す訓練や共同体の連携など、守るべき子どもたちをめぐる緊張と、代償を抱えながらも道をつなごうとする人々の葛藤が物語の核になっている。