干谷の水脈守り
石に触れ、水の声を聞く──小さな谷を巡る約束の物語。
あらすじ
前世で水道局員だった記憶を微かに引きずる青年リオは、干上がった谷で古い一族の末裔として生まれ変わった。彼には石や石壁に触れると「現在の水の流れ」が青白い線と音で見えるという特殊な感覚が備わっている。しかしそれは体から水分を奪う代償を伴い、原因や未来を読み解くことはできない。村は水不足に喘ぎ、リオは鍛冶職のナナや元測量兵のセド、歌い手ユイと小さな仲間モルらとともに、古い水路や閉ざされた弁、朽ちた揚水塔を調べ修理していく。石の「歌」を頼りにする一方で、王都側の封鎖や資源の配分という現実とも向き合わねばならない。感覚と手仕事が交差する技術描写、仲間と分かち合う責任、代償を払ってまで守るべきものを選ぶ緊張が読みどころの物語。