北壁の暦官
記憶を代償に、日付は人を救うのか。
あらすじ
北の山脈を望む砦、暦局で働く暦官・綾月琴音は、額に走る薄い裂け目(暦裂)と引き換えに、暦の余白へ一行を書き込む力を持つ。朔日という制約のもと、その一行は誰かの運命をずらし、同時に琴音の記憶を削る代償を伴う。暦を巡る中央の機関と、余白を集めて時間をねじる集団「余影党」の介入、そして失われた頁の起点を探る資料庫の探索――琴音は仲間たちと共に真実を追い、使うことの倫理と共同で暦を守る道を模索する。記憶の喪失と共同の責任、暦の力がもたらす救済と犠牲が交錯する、人間の選択を問う物語。