白砂月時計のルゥン
十三の歯が示すのは、取り戻すべき時間か、守るべき代償か。
あらすじ
白砂の街クレセント。満月に降るはずの「時砂」が届かず、夜の長さが三日分も伸びた世界で、懐中時計職人の記憶の断片を帯びた若者ルゥン(朝倉透の意識の一部を抱える)は、十三の目盛りを持つ奇妙な輪(歯車)と冷却室の謎に向き合う。運び屋のミナ、追手を逃れる元騎士エド、十三拍を刻むシアと、腹に輪模様を持つ獣ノクとともに、止まった時間を修理するか、それとも守るかの選択を迫られる。修理には「一時間分の記憶を失う」という代償が付きまとう。壊れた時計塔、黒い満月の赤い脈、地下の冷気──時間をめぐる静かな緊張と、仲間たちの決断が物語の核。記憶と責任、失うことと守ることの葛藤が読みどころ。