疾風杭の法医学者と雨の王女
合意が、力になる。だが力は、代償を求める。
あらすじ
長く降り続く雨の中、村や避難所に打ち込まれた「疾風杭」が人々の暮らしを左右していた。杭は触れた者たちの合意を媒介にして一度だけ現実を変える力を持つが、単独使用や合意なき介入は感覚の喪失や効果の暴走を招く。前世の職能を抱えた法医学者や医療・技術に長けた者たちが集まり、杭の設計と出どころ、そして「雨の王女」と呼ばれる支配の構図を突き止めようとする。制御室や広場、廃線脇の避難村――湿った匂いと鉄の冷たさに満ちた舞台で、合意の作り方をめぐる倫理と戦術の選択が何度も迫られる。仲間同士の信頼、外部からの介入、杭が示す痕跡の読み解きが物語の軸となり、救命と自由を同時に守るには何を犠牲にするかが問われる。