ラジオ劇団の音響師
音が残す余韻は、人の記憶をも削ぐ。誰を守り、何を失うのか。
あらすじ
霧島透は、古い真空管ラジオとリールテープに刻まれた声の「余韻」を視る能力──「余音読む」を持つ音響技師。白楓放送劇団の現場で効果音を担当しながら、雨音に偽装された“合図”が放送を通じて聴取者の感情を操る仕掛けの存在に気づく。仲間の技術者や演者と共に盤根錯節する放送回線と廃送信所、研究施設の痕跡を追ううち、透は能力を使うたびに大切な記憶や旋律を失っていく。倫理と責務のはざまで、被害を防ぎ証拠を公にするためにどこまで自己を削るのか――現場の緊迫と音の細部を辿る調査、夜の録音室での決断が読みどころ。