異世界転生時計師の監察官
止まった秒針を、合意の手で戻す。
あらすじ
イツキは塔で時計の修理を学ぶ見習い時計師。工場町の公時計や個々の柱時計の“止まった秒針”を直すことで、人々に短い休息──塔の能力が記録する「待ち時間」を取り戻そうとする。しかしその力は、合意なく時間を奪えば自身の寿命を削る代償を伴い、中央の王立監察局は時刻徴器と「十三時」を根拠に介入を強める。イツキは工具箱を抱え、町の住民と合意の仕組み(待機協定)を作りながら、徴時器の内部を調べ、公開聴聞や署名運動で制度の正当性を問い直そうとする。時計修理の細やかな描写と、時間をめぐる倫理・共同体の葛藤が読みどころの一作。