灯を継ぐ聖女は、痛みの名前を知っている
掌の灯は、誰の朝を返すのか。
あらすじ
リゼットは掌に宿る金色の灯を扱う聖女候補。前世の看護師としての所作を思い出しつつ、患者本人の望みを確かめてから癒すことを信条にしている。舞台は雨に閉ざされた療養村と、その背後に影を落とす聖堂の祭壇。聖堂は祝祭めいた白光の奇跡で名声を得る一方、祭壇から広がる黒緑の光と不可解な脈動が村を蝕んでいる。 彼女は薬師ミレア、騎士見習いユアン、井戸に心を寄せる少年ノアらとともに、目の前の病と村の異常に対処していく。短時間での派手な奇跡と、日々の手当てとを対比させながら、リゼットたちは“灯を渡す”というやり方で人々の選択と尊厳を守ろうとする。だが灯を使う代償は確かに存在し、記憶の欠落という制約が彼女を苛む。やがて彼らは、村から王都の地下へとつながる大きな問題の兆しを追うことになる。 誰の朝を、どの方法で守るべきか──小さな所作と選択が重く響く群像劇。記憶と灯が交錯する中で、主人公たちの信念が試される。結末の核心には触れず、彼女たちの葛藤と行動