舟歌い
声を合わせて、潮の道をつなぐ。
あらすじ
潮に囲まれた下町で舟歌の断片を携えるサラは、人々の声を合わせることで水面に短い航路を作る不思議な力を持つ。上町が水門を閉じて下町を切り捨てる中、サラは半分だけ残った楽譜と仲間のルカ、ミナとともに避難路を築き、封鎖の理由を記録局の文書や沈んだ鐘の痕跡から探ろうとする。能力には「二人以上が同じ旋律を聞き合う」という厳しいルールがあり、その代償と住民の選択が物語の軸となる。共同で歌うことの緊迫した場面、記録を暴く緊張、守るべき顔ぶれへの思い――潮と声が織りなす街の営みが描かれる群像劇。