野原の工房の木工職人はほどよく働く
手入れで一度だけ見える疲れ。小さな工房の静かな判断。
あらすじ
小野屋朔は草原の縁にある小さな工房で木工を営む職人。彼が丁寧に手入れした道具や器は、触れた人の“疲れ”を一度だけかたちとして見せる不思議な性質を持つが、そのたびに朔自身の睡眠と体力が削られるという代償がある。そんな中、町には「見える化」を掲げる開発計画が迫り、住民投票や説明会をめぐって住民同士や外部勢力との対立が深まっていく。朔は仲間たちとともに、手入れの技と場づくりで暮らしを守る道を探るのか、それとも別の選択をするのかを突き付けられる。日常の手仕事の描写と、各人の選択が連鎖する人間模様が読みどころ。