温室で写真嫌いのふたりは名前のない関係を選ぶ
名前を抱かず、手に残る痕を選ぶ。
あらすじ
若葉柊と園田麗は、学校の温室で共同制作を続ける二人。写真に写ることや「名前」で関係を定義されることを嫌い、押し葉や手作りの小物、重ねた指紋のような“痕跡”だけを互いに残してきた。だが学内の展示案や評価制度、撮影チームや監視、そして「カップル」表示の要求が押し寄せ、温室に貼られた名札や外部の封筒が二人のやり方を脅かす。二人は匿名性を守るために、共同制作の形や仲間との連携、制度にどう向き合うかを選ばねばならない。手仕事の細部に宿る関係性、監視と自治のせめぎ合い、そして“言葉にしたとたん消えるもの”を巡る葛藤が物語の中心になる。