海底駅の最終乗客

海底駅の最終乗客 第13話「第12章:蒼海への旅路」

事件の後、志織が書いた記事は、社会に大きな衝撃を与えた。 鉄道会社の隠蔽工作は白日の下に晒され、経営陣は総辞職に追い込まれた。再調査が行われ、雨宮海斗を含む「公式には存在しなかった」犠牲者たちの名誉が回復された。 陸も証人として調査に協力した。彼は祖父の罪を隠さず、すべてを話した。 世間は祖父を激しく非難したが、一部の遺族たちは、陸のもとを訪れ、感謝の言葉を述べてくれた。 「あなたの祖父がいなければ、私たちはあの夜、救いを見つけることはできなかったでしょう。彼は罪を犯しましたが、愛も持っていました」 その言葉が、陸にとっての最大の救いだった。 陸はその後、鉄道会社を辞め、しばらくの間、日本中を

事件の後、志織が書いた記事は、社会に大きな衝撃を与えた。
 鉄道会社の隠蔽工作は白日の下に晒され、経営陣は総辞職に追い込まれた。再調査が行われ、雨宮海斗を含む「公式には存在しなかった」犠牲者たちの名誉が回復された。
 陸も証人として調査に協力した。彼は祖父の罪を隠さず、すべてを話した。
 世間は祖父を激しく非難したが、一部の遺族たちは、陸のもとを訪れ、感謝の言葉を述べてくれた。
「あなたの祖父がいなければ、私たちはあの夜、救いを見つけることはできなかったでしょう。彼は罪を犯しましたが、愛も持っていました」
 その言葉が、陸にとっての最大の救いだった。
 陸はその後、鉄道会社を辞め、しばらくの間、日本中を旅して回った。
 彼は各地の「廃線」を訪ね歩いた。そこには、海底駅と同じように、人々の忘れ去られた記憶が眠っている気がしたからだ。彼はそれらの記憶を拾い集め、小さなノートに記していった。
 だが、彼はもう、過去の幽霊に怯えることはなかった。
 彼は知っていた。どんなに深い闇の中でも、誰かが想い続けている限り、そこには必ず光があることを。