鞘の少年と、抜けない聖剣
欠けたままを、誰かと運ぶ旅。
あらすじ
修復職人だった朝倉透は、展示された「聖剣」を守るために鞘として目覚める。自身の腰に筒がないまま半透明の姿で旅する“鞘の少年”サヤトは、剣を「抜けない」存在として制御する力と、記憶の欠落という代償を抱える。季節河のほとりの町や旧関所、夏の荒野、村を経て海へ向かう道中で、地図を携えた少女や剣士、盾持ち、羽ある小さな仲間たちと出会い、公式の命令と村人の命との狭間で選択を迫られる。壊れたものをどう受け継ぎ、誰と痛みを分かち合うのか——記憶と責務をめぐる旅と、刃に刻まれた古い名の謎が読みどころ。結末の核心は書かれておらず、彼らが下す判断とその代償が物語を動かす。