巨人都市の救命士
巨人の胸で、選ぶことを救命とする。
あらすじ
前世は救命士、水城透──転生してエルドとなった少年は、骨でできた梁と血管のような通り、膜状の天井に覆われた巨人の内部都市ルーメンで目を覚ます。瓦礫の中で聞いた少女の問いと、掌に残る片方の白い手袋が彼を救護の道へと駆り立てる。仲間のガウ(骨工)、セネ(禁書を皮膚に写す者)、ミナ(詩的な聴診を行う者)とともに、同時多発する「呼吸停止」の現場に向かううち、都市を貫く杭と紫色の流れ――眠りをもたらす薬液の痕跡に行き当たる。評議会の制約と古い記録が示す歴史的な恐れの前で、エルドは「誰の命を、誰の意思で決めるのか」を問い直し、眠る者を起こすか否かを住民自身に選ばせる道を模索し始める。謎の起源と選択の重さが交錯する中、彼らは記録と手続きを整え、人々に選ぶ機会を渡そうとするが、その先に何が待つかはまだ明らかではない。