巨人都市の救命士

巨人都市の救命士 第7話「第6章」

評議会の冷えた石板の間は、ルーメンの下層にあるとは思えないほど静かだった。外でまだ肺腔の修復が続いていることを示す微かな振動が床を伝ってくるだけで、空気は乾いて、古い紙の匂いと薬液の金属臭が混じっていた。四人は鎖の代わりに、目につかぬ程度の監視符を手首に巻かれただけで、椅子に腰掛けさせられていた。ヴァルドは背後の窓から差す薄明かりに輪郭を浮かべ、静かに資料箱を開けた。

評議会の冷えた石板の間は、ルーメンの下層にあるとは思えないほど静かだった。外でまだ肺腔の修復が続いていることを示す微かな振動が床を伝ってくるだけで、空気は乾いて、古い紙の匂いと薬液の金属臭が混じっていた。四人は鎖の代わりに、目につかぬ程度の監視符を手首に巻かれただけで、椅子に腰掛けさせられていた。ヴァルドは背後の窓から差す薄明かりに輪郭を浮かべ、静かに資料箱を開けた。

「見せるつもりはなかったが、君たちが知るべきだろう」ヴァルドの声は硬く、しかし責任を帯びていた。彼は一枚の図を広げる。古いインクで引かれた線が、巨人の胸腔と都市との重なりを示している。小さな人物の跡が、肋骨に寄り添って歩くように描かれていた。紙の端に残る注記は、何世代も前の手によるものらしく、文字はかすれていた。だがその一行一行が、今のルーメンの政策に至るまでの理由を物語っていた。

「これは覚醒の記録だ」ヴァルドはページをめくる。次に差し込まれたのは、火花を散らすようなスケッチで、筋肉が痙攣し、街灯が吹き飛ばされるように描かれていた。そこに描かれている人々は、踏み潰されるのを恐れながら逃げ惑い、道路は裂け、渡し綱は切れていた。描線の震えが、その瞬間の混乱と恐怖を残酷に示していた。

エルドの胸がざわついた。紙に描かれた光景は、彼が肺腔で聞いた震えよりはるかに大きく、もっと古い恐怖を含んでいた。無数の小さな顔が、骨の迷路に押し込まれ、叫びが線で引かれているようだった。漫画の見開きになるなら――と無意識に思うほどに、その場面は視覚を強く刺激した。静かな会議室で、過去の惨劇がページの上で息をしている。

ミナが目を背けた。ガウは手のひらを握りしめ、爪の付け根が白くなっている。セネは表情を固め、紙の隅の署名を凝視していた。エルドだけは、じっと描かれた流れの線を見ていた。彼の脈は一拍ごとに弱くなるのを感じられた。

「これがあったからだ」ヴァルドは言葉を選び、ゆっくりと続けた。「オルガが自力で大きく動いたとき、都市の半分が消えた。人々は……吹き飛ばされ、圧搾され、そして多くは戻らなかった。それ以降、我々は方法を考えた。薬液を循環させ、植え付けられた杭を監視して、外的刺激を最小限にする。安全こそ責任だと判断した。だが安全はいつも、犠牲を伴う」

彼の声に、責めの色はない。そこには、千の決断を代わりに背負ってきた者の疲労があった。彼の指先が、別のページの端をなぞる。そこには覚醒した巨人の筋繊維が拡大して描かれ、周囲の建築が圧し潰される様が精密に示されている。図は冷徹だった。そこに人名や部隊名、死者数の記録が添えられている。

「私が何をしたかを断罪するのは簡単だ」ヴァルドは四人の方へゆっくりと視線を移した。「だが決断は、夜に一人で立ち上がって計器の前に座り、誰が守られるかを数え、どれほどの被害が出るかを想像することだ。何も選ばないという選択は許されない。だが君たちは、この肺腔で――君たちのやったことは、別の仕方でもあった」

セネが小さく身を乗り出した。「評議会は杭のことを……」言いかけて、彼は顔を曇らせた。彼の指先に小さな痕が走る。皮膚の上に写した禁書の文字が、低い光で浮かんでいるのを、誰もが見逃さなかった。ヴァルドの目がその痕に一瞬反応したが、またすぐに平静を取り戻した。

「その禁書の断章は、誰から得た?」ヴァルドの問いに、セネは答えるより先に指を胸につけ、内側のページを思い出すようにした。「私は……記録を見つけた。保存庫の古い目録に隠れた一行の注記。評議会の上層が、古い杭の仕様について何らかの言及をしているのを見つけた。具体的な位置と薬液の調合比まで、記録に残っていた。だがそれは秘匿されていた。公にはされなかった」

その告白は、会議室の空気をさらに重くした。ヴァルドの口角がわずかに動いた。彼は何かを探るようにテーブルの上の古い箱を開け、一枚の紙片を差し出した。それは評議会の印が押されている正式な通達だった。インクは擦れていたが、上層の署名と「保持」の朱印は鮮明に残っている。「杭は維持せよ。覚醒を回避するためのあらゆる手段を継続すること」――そう書かれていた。

「我々は知っていた」セネの声が震えた。「連中は、隠していた。公には安全宣言を繰り返しながら、実際には杭を維持するための研究費を回していた。ここに、その証明がある」

ミナは手のひらを胸に当てて、かすれた声で言った。「隠す理由がわからない。人は真実を知る権利があるのに」

ヴァルドはそのとき初めて、冷たい笑みを浮かべた。だがそこに嘲りはなく、むしろ痛みが混じっている。「公にすればどうなるか、君たちは想像しているのかね? 覚醒の危険が公知になれば、街は混乱し、慌てふためいた群れが肺膜を突き破る。避難のための準備などできないまま、パニックが発生する。私に与えられたのは、その混乱を避ける義務だ。私はそのために、夜ごと薬液の濃度計を見つめてきた。だがそれが正しいかどうかは、いつだって悩んできた」

ガウが苦い呟きを洩らした。「それでも隠すのは――仲間を信じる余地を奪うようなものだ」

「信じる余地か」ヴァルドは短く歯切れよく言った。「信じることは、準備が整っていることを前提とする。だが準備には限界がある。私が最初に見た覚醒の映像を、君たちは今見た。あのとき、誰かが早まって起こしたわけではない。自然現象が引き金になった。その結果、何千という命が失われた。私は二度と、あの光景を見たくない。だから私は眠らせることを選んだ。そなたたちは他の選択をした」

エルドの胸の内に、言葉にならないものが溢れた。彼は自分の手のひらを覗き込み、そこにある小さな瘢痕を見つめた。前世の夜、病室で家族に説明できなかった自分の手だ。救命とは何かを問うとき、彼自身が逃げてきた問いがここにある。彼は吐き出すように言った。

「僕は、前世で……救える見込みがある人を、最後まで救おうとしてしまった。それで説明する時間を失った。家族の側にいられなかったことが、ずっと胸に残っている。最後に聞いた声が、『この人、眠っているだけ?』だった。あの子の問いに答えられなかった。だからここでは、ただ呼吸を戻すだけの仕事ではなく、意思を見ることを学んだ。僕はもう、可能性があるからといって手を動かすだけではいられない」

言葉は細く、静かに部屋に落ちた。ヴァルドは黙ってそれを聞き、しばしの沈黙の後に小さくうなずいた。「君の言うことはわかる。私も、誰かのために手を動かさなかったあの夜を忘れられない。だからこそ、あのときの惨状を二度と繰り返したくないと思った」

エルドは、胸の中に居座る不安を何とか押し殺し、別のことを確かめたくなった。ヴァルドの説明の合間に、彼は自分の能力を使っていた。脈見は対象の循環を三分だけ可視化する。だがそれは一つの代償を伴った。使うたびに、手の中から何かの記憶が薄れていく。ここでまた使えば、前世の母の笑顔はさらに遠のくだろうと彼は知っていた。それでも、目の前の流れを見なければ、彼らは真実を見誤るかもしれない。

ヴァルドの指先を、エルドはそっと触れた。金属の冷たさと、薬液の微かな匂いが指先から伝わる。脈見は即座