療養院の悪役令息は側近と国を離れる
合意で文言を変える――代償を抱えた選択の物語。
あらすじ
アルヴェル・フォン・ライネスは療養院に身を置く公子で、古い文書を当事者の合意で読み替える「合意読み」という術を持つ。院内の配置や面会権が制度によって人々の選択を奪っていることに気づき、側近たちとともに文書の綻びを突いて制度を変えようと動き出す。だが術は当事者全員の自発的な合意を必要とし、一度の独断は彼自身の選択肢を永久に奪うという代償を伴う。王室の監察や書類に刻まれた旧い仕組み、人々の恐れと期待が交錯する中で、アルヴェルは誰の同意を得るか、何を失うかを天秤にかけ続ける。療養院の記録室や大広間での公開合議、密やかな文書探索といった場面が読みどころ。