商店街の写真館で遠回りする同級生は季節限定の約束を守る
写真に残るのは、記録か──それとも触れ合いの痕跡か。
あらすじ
商店街の古い写真館を拠点に、茜とその同級生たちは四季ごとに一枚ずつ「共同で作る」約束を続けている。彼らの間には、共同制作物にだけ残る微かな“痕跡”を感知する力を持つ者がおり、それを手がかりに関係の機微や互いの揺らぎを確かめてきた。だが写真を行政や評価システムが「データ」や「証拠」として扱おうとする動き、差押えや掲示板のランキングといった外部の圧力が強まり、個人的な記憶と共同の約束が危機に晒される。暗室の匂い、ポラロイドや押し花、季節ごとの儀式めいた作業――温度と匂いで描かれる日常描写と、能力の代償、仲間たちの選択が交錯する物語。彼らは写真館と約束をどう守るのか、誰に差し出すのかを突きつけられながら、それぞれの決断を迫られていく。結末の核心には触れず、読むほどに濃くなる暗室の時間と、共同制作の儀礼が読みどころ。