心臓を借りる兵士は生まれ直さない
真実を編むたび、彼は自分を失う。
あらすじ
戦火と徴発が街と人々の記憶を奪う世界で、カイは「借りた心臓」を抱えて他者の証言を一つに束ねる能力を持つ。能力は真実を可視化する力となる一方で、使うたびに自身の記憶が失われるという代償を伴う。仲間のレンやミアらとともに、徴発名簿や王都の記録、儀式の装置と対峙し、制度化された「救済」と呼ばれる強制を暴き、当事者が自分の意思で選べる世界を取り戻そうとする。各地の広場、聖室、保蔵庫で当事者たちの声を集めるたびに、彼らは重大な選択を迫られ、記憶と共同体の重みが物語を動かしていく。結末の核心は明かさず、真実と代償、共同性の葛藤が読みどころとなる。