夢を税にする司祭は愛した人を裁く

夢を税にする司祭は愛した人を裁く 第8話「第7章」

瓦屋根の上は冷たかった。夜風が縁をなぞるたびに、古い漆喰が小さく鳴る。星は手持ちのカメラで切り取られたように、まばらに、しかし確かに瞬いていた。ルカは屋根の一角に座り込んで、膝の上で指先をこする。金属の味が口の中に残っている。遠くで巡回兵が踏み鳴らす鎖音が、街の眠りを計る時計の針のように聞こえた。

瓦屋根の上は冷たかった。夜風が縁をなぞるたびに、古い漆喰が小さく鳴る。星は手持ちのカメラで切り取られたように、まばらに、しかし確かに瞬いていた。ルカは屋根の一角に座り込んで、膝の上で指先をこする。金属の味が口の中に残っている。遠くで巡回兵が踏み鳴らす鎖音が、街の眠りを計る時計の針のように聞こえた。

「こんなところで何をしているんだ、司祭──ルカ」

低い声。被告予備と呼ばれているイツキが、ルカの隣に腰を下ろした。彼はまだ若い。顔に刻まれた線は、眠りを取られる者たちの祈りを数えてきた人間が持つものだった。イツキは掌に小さな包みを抱えていた。

「思考を整理していました」とルカは答えた。真実を束ねるときの準備だ。言葉にしても、指先の震えは収まらない。

イツキは夜空を見上げ、吐く息が白く立った。星の切れ目が、二人の影を薄く分断する。「私はね、維持してきたんだ。夢税の秩序を。秩序は、人が手を差し伸べる余地を奪う。だが奪うことで、より大きな混乱を食わせない道を選んだんだよ」

ルカの胸が、確かな音を立てて揺れる。イツキの言葉は、裁きの動機に疑念の種をまいた。罪を糧に統治する者たちがいる。だが、そこに誰かが合理性を見出し、守るために選択したという事実があるとき、裁きは単純ではなくなる。

「誰のためだと言うのですか、イツキ。秩序のために、何をどれだけ奪うのかを決めたのはあなたではないはずだ」

「それは、私ではなく制度だ」イツキは肩をすくめた。「でも、私も背負った。帳簿を閉じるときに、数えきれない顔を見た。夢を奪われる人間の目──それは、ただの数字じゃない。だが、あのとき私が無力を恐れていなかったら、街はもっと早く崩れていただろう」

ルカは手を伸ばした。イツキの包みを見下ろす。包みの中には、薄い紙切れが折りたたまれている。夢の断片を記す紙片だ。ルカの能力はそれを束ね、一人では見えない残酷な真実を、当事者たちの証言として結びつける。だがその代償はいつも冷たく、彼の胸を抉った。

「一つだけ聞かせてください」ルカは低く言った。「あなたが選んだ回避は、誰かの声を消してきませんでしたか。被害者が自分の語る権利を失っていなかったか。私は──私は正しい裁きをするために、それを確かめたい」

イツキはしばらく黙った。屋根の向こうで灯が点滅し、遠方の鐘楼が一つ二つ鳴る。やがて彼は包みを差し出した。「集めてください、司祭。だが一つだけ──強制はしないでくれ。救済を無理に押し付けるのは、呪いを増やすんだ」

その言葉でルカの指先が凍る。救済を強制すると呪いが増幅する。彼自身、過去に一度だけそれを試みたことがある。強制という暴力が夢の渦を呼び、路地の夢影が街灯を破り、数日間にわたって夢税の徴収が暴走した。あの夜の光景は、彼の記憶の中で埃のように落ち続ける。代償として失ったもの──それは、アヤの笑いの一節だった。ふとした瞬間に思い出せなくなっている。

ミカが屋根の低い縁を跳んできて、二人に合流した。彼女はいつも素早い。ジャケットの裾にまだ雨滴が残っている。

「話は聞いたわ。短くて濃い話ね、イツキさん」ミカは包みを受け取り、封を開く。紙が触れる音。彼女の指先は丁寧だ。中の断片を一枚一枚めくると、そこに刻まれた夢の断片が風に乗って薄く震えた。

「当事者の言葉をもっと集めるべきよ」ミカはルカに向き直った。「あなたが一人で全部を背負う必要はない。イツキさんが『強制』を嫌うなら、彼と同等の人たち、同じ立場で夢を失った人たちの声を、こちらで集める。彼らが語りたいときに語らせる。そうすれば、あなたは武器を振るわなくても、証言が真実を縛る形になる」

ルカはミカの瞳を見た。彼女の目には、静かな決意が湛えられていた。彼女は自律的に動く者だった。仲間の一人がこうして自分の意志で動くことが、ここ数週間で何度かあった。彼らの選択が物語を動かすことを、ルカは既に学んでいる。だが、自分の能力に縋る癖は簡単には消えない。

「──やってください、ミカ。だが、私の代わりに真実を束ねるとき、私に触れないでほしい。私が触れると記憶が薄れる」

ミカの眉がわずかにひそむ。「触れるって、具体的に?」

ルカは手を握りしめる。「当事者の夢の端末──夢の破片に触れて、私の術式で紡ぐとき、私はそれらを一体化する。真実として結実させるほど、私の個人的記憶が溶けていく。重要な記憶ほど、代償が大きい。救済を強いるときは──もっと酷い。呪いが増幅する」

ミカは黙ってうなずいた。彼女は包みを再び折りたたみ、胸に抱えた。「いいわ。私は直接、他の当事者たちに会いに行く。口頭で、紙で、物語で。ルカは必要なときだけ出てきて。強制による救済だけは、絶対にしないで」

イツキがゆっくりと立ち上がる。彼はルカの耳元で何かを囁いた。「あなたの、誰かを裁くという言葉──それは、重い。覚えておけ。裁くことと救うことは別物だ。救済を与えたところで、相手が望まなければ呪いは跳ね返る。だが、語る権利を与えれば、誰かは自分で立てるかもしれない」

ルカはイツキの言葉を受け取れなかった。胸の奥で、もう一つの欠けが広がり始めているのを感じる。彼はこの能力を使うたびに、アヤの指先の感触、朝食の匂い、夜に交わした約束の最後の言葉が、一語ずつ消えていくのを知っている。その喪失は疼き、怒りにも似ているが、同時に決断を鈍らせる。彼は、愛した人を裁かなければならない。しかし愛した人が、もはや自分にとって完全な記憶ではないかもしれない。

ミカは先に屋根を降りていった。彼女は約束を実行している。足音が瓦を叩き、やがて路地の声に混じって消えた。イツキは包みを抱えたまま、そっとルカに背を向けた。

「これが最後のお願いだ」イツキは言った。「私を裁くなら、私の決断を記録に残してくれ。私がなぜそうしたのか、当事者の言葉で。制度が語る理由ではなく、私が語る理由を」

ルカは手を伸ばし、包みを取った。指先が紙の端を撫でると、微かな震えが伝わってきた。彼は能力を起動する準備を始める。触れた瞬間、イツキの夢の断片が指先から爪先に沿って寒気のように登った。断片は薄く、だが重い。夜風がその断片を揺らし、複数の声が重なり合う。

「ここで止めるんだ、ルカ」

自分の内側から、遠くの声が言った。自分の記憶を失う恐怖が、肌を引き裂くように冷たい。ルカは短く息を吐くと、手の動きを止めた。結合は半分で終わった。彼は結びの一端だけを持ち帰り、イツキの言葉を紙に写し取った。術式を完全に通すにはもっと多くの証言が必要だ──だが、その度にルカは何かを失う。

そのとき、屋根の端で小さな光が膨らんだ。淡い金色の粒子が空気に溶け、瓦の隙間を這うように広がる。夢の残滓──徴税に用いられる証の欠片たちが、逃げ場を求めるように波打っていた。ルカの胸の奥の喪失感が鋭く刺さる。

「救済を強制したら、あれがもっと増える」イツキの声が震えた。「私はそれを見たんだ。私の決断で増えたんだよ」

ルカは歯を食いしばり、両掌で顔を覆った。触れた部分が冷たい。彼は一つだけを思い出したくて、包みをさらに開いた。そこに書かれていたのは、小さな街角の出来事、ある夜に起きた争いの