血を記録する墓守は妹の名を返す
血で呼び出す真実は、名前を返す代わりに記憶を奪う。
あらすじ
エイレンは“血を記録する”力をもつ墓守だ。石に自分の血で文字を浮かべることで、封じられた証言や名前を現前させる──だがその代償は、触れるほどに自分の記憶を失っていくことだった。妹の名が公的帳簿や血の碑に白く欠けていると知った彼は、仲間とともに帳簿を取り戻し、公開の場で名を取り戻そうと動き出す。だが国家の記録制度、教区の儀式、そして“救済を強制”したときに呪いが増幅するという危険が彼らを突きつける。妹の名を返すために払う代償と、記憶や共同体の選択が交錯する物語。