仮面の継承者
仮面が名を奪う世界で、彼はまず「聞く」ことを選んだ。
あらすじ
榊透真――舞台俳優として培った「聴く」技術を宿した彼は、リュネアの王位継承の儀で白磁の仮面を受け継ぐ。だがその仮面には亀裂が入り、仮面が人々の名や記憶を宿し奪う仕組みが国に深い亀裂をもたらしていることが明らかになる。樹冠に開いた会議場、鐘楼に据えられた巨大な「大面」、そして仮面職人フィルや弓の護衛ミナ、書記のノアら仲間と共に、透真(この国ではレイ・アルヴェイン)は「演じる」ではなく「聞く」ことで失われた名を取り戻し、仮面の役割を変えようとする。忘却と秩序、記憶の代償を巡る政治的圧力と職人技、儀礼の場面が交錯する物語で、仮面や亀裂、朱の輪、黒い糸といった象徴が読みどころとなる。