継ぎ目の王冠と廃都の修復士
忘却を代償に、街の綻びを縫い合わせる──静かな修復譚。
あらすじ
綴(つづる)は前世の記憶の一部を失いながらも、壊れたものを見分けて繕う手先の感覚だけを頼りに生きる修復士。十六歳の身体になって妹・真帆を王都へ送り届ける途中、廃都オルディナへ足を踏み入れる。瓦礫と赤錆に覆われた街には、鐘楼や水路、議場といった“継ぎ目”が残り、それらを直すことで人々の避難路や記憶がつながっていく。だが遺産院は都市を危険遺構に指定して修復権を奪おうとし、中央水門の崩落はその緊張を突きつける。綴はノク、リュネ、ガルムら仲間とともに、音や触感を手がかりに機構の真実を探り、忘却を代償に街と人々の選択をどう繋ぎ直すかを問われる。手仕事の描写と音のモチーフを通して、記憶と共同体の在り方を描く物語。