月苗の辺境農園主は、欠けた夜を実らせる
欠けた夜と、手を差し伸べる観察者。
あらすじ
元・温室研究者の記憶を宿した八歳の少年トーマ・ルーセントは、辺境の月苗農園で目を覚ます。根だけが崩れる奇病、季節を失った畑、井戸から漏れる青銀の光──観察と記録を信じるトーマは、黒い半月の欠片という不思議な力と代償を手に、村人たちと共に原因を探りはじめる。獣人の嗅覚に長けたミナ、設計図を残す母の遺物、年輪に宿る記憶を読むセラフィナらと協働し、外部から来る収穫隊や導管の謎に対処しながら、失われた季節を取り戻すための方法を模索する。科学的観察と共同作業、記憶と代償が絡み合う中で、トーマは自分の「声」や過去との折り合いをつけながら進んでいく。