砂暦の村長子と、眠れる季節の迷い路

砂暦の村長子と、眠れる季節の迷い路 第7話「第六章」

朝の冷気がまとわりつく丘の縁で、僕らは足を止めた。道は幅の狭い谷に落ちていて、その縁に小さな木の祠があり、そこに誰かの息づかいのようなものが残っていた。昼夜を問わず季節の混じり合いを吐き出す路の脇で、オルドは荷を下ろすと静かに膝をついた。彼の鞄には布切れが巻かれた壊れた器が見え、風が吹くたびに赤金の粉が小さく舞った。

朝の冷気がまとわりつく丘の縁で、僕らは足を止めた。道は幅の狭い谷に落ちていて、その縁に小さな木の祠があり、そこに誰かの息づかいのようなものが残っていた。昼夜を問わず季節の混じり合いを吐き出す路の脇で、オルドは荷を下ろすと静かに膝をついた。彼の鞄には布切れが巻かれた壊れた器が見え、風が吹くたびに赤金の粉が小さく舞った。

「これが……それか」ラグが低く漏らした。言葉は刃のように鋭く、空気の音を裂いた。

オルドはうつむいたまま、手の中の物を広げる。木の箱に納められた物は、かつて季節役所で用いられたという小型の秋砂時計だった。だが、底の器は欠け、側面には固まった赤金の砂がこびりついている。中央の首はひどく擦り切れていて、落ちるはずの砂粒が途中で止まっていた。箱の蓋には古い墨印が押されており、その判子は今もかすかに秋の匂いを残しているようだった。

ミナがじっと見つめる。彼女の冬砂が呼応したのか、足元の露が一瞬白く光って薄氷になった。セラは指先で箱のふちに触れ、春砂の微かな残り香を探る仕草をした。僕は、心臓が早鐘を打つのを感じていた。オルドの表情には、旅路で見せてきた淡い仮面の下に深い溝が刻まれている。

「説明を聞くべきだ」ラグが言った。いつもの陽気さは影を潜めている。 「どうしてお前がリュネの秋砂を持っている。どうしてそれが欠けているんだ」

オルドはゆっくりと顔を上げ、僕らの視線に一つずつ答えていく。声は乾いた紙が擦れるようだが、言葉は明瞭だった。

「私は、元・季節役人だった。ヴェルグの下で、巡季脈の管理に関わっていた。リュネの秋砂は、封鎖を補助するために移動させるよう命じられた。私の手が、村から砂を持ち出したんだ。封印の一部を成すものとして」

その一文で、火が燃えるような怒りと、冷たい沈黙が交互に襲った。村を守るための封鎖が──それを補助するために秋の砂を奪われたのだという事実。言葉が一つ一つ、僕らの胸腔を蹂躙していく。

「命じられたって、言い訳にはならない」ミナの声は低い氷の刃だった。 「村が百年も秋に閉じ込められているのを、どうして黙って見ていた?」

オルドの肩がわずかに震えた。彼は両手で箱の角を抑えて、その古い墨印を指先でなぞる。

「私は……従った。命令だからだ。若かった。自分に抗えるだけの根がなかった。だが、運搬の最中に後悔した。跡をつけられると思い、少しだけ秋砂を残した。村が完全に潰れるのを見たくなかったんだ。だが、それも完全な保全ではなかった。手を離すと、器は割れ、砂は逸れ、私は何もできずに逃げてしまった」

オルドの目に光るものがあったが、それは涙とも汗とも違った。赤金の粉が指の間で膨らむように見える。ラグが前に出て、箱に触れた。欠けた器の内側で、赤金の粒が絡み合い、まるで誰かの名前を拒むように絡まっている。

「逃げたのか」セラが言う。問いというよりも、吐き出しだった。 「村を見捨てたのは、あなた自身だ」

オルドはそれを受け止めた。彼はしゃがみこみ、両手を広げる。掌の皺に線が浮かび、過去の刻印が見える。

「見捨てた。だが、それで終わりにするつもりはなかった。隠すつもりもなかった。私は封印図を持っている。――これをあなたたちに見せたい。罰を受けるなら、私が受ける。だが、真実を知らずに進むことはできない。これが、封鎖の設計図だ」

彼の言葉に、僕らの空気がまた少し伸びる。オルドは箱の奥から別の巻物を取り出した。それは、分厚い羊皮紙のような質感で、角が黒ずみ、ところどころに古い蝋が固まっている。紙面には薄い朱線で回路図のような線が引かれ、四方に四つの色を示す小さな印が押されていた。だが紙面の中央部だけが、まるで墨すら吸い込まれたかのように、白くぽっかりと抜け落ちている。

見開きのような一瞬が、僕の視界を満たした。オルドの箱の欠けた秋砂時計と、役所の判印がはっきりと同じ頁に重なっている。羊皮紙の朱線は、紛れもなく巡季脈の流れを示す。それは重要な資料であり、同時に罪状の証拠でもあった。ミナは息を漏らし、ラグの顎が落ちる。セラは両手で紙の端を押さえ、指先が白くなる。

「中央に空白がある」僕は声にならない感想を漏らした。 「ここに、秋以外のものが描かれていない。四色の座標の真ん中が、空っぽだ」

オルドの目に、わずかな安堵の色が差した。彼は紙を差し出し、僕らに見せる。

「私が運んだとき、そこには何も描かれていなかった。役所の文書にも、空いた空間がある。だが私が逃げ出した後から、誰かがそこに黒い印を押し始めた。黒砂の扱い方を示す小さな走り書きが見つかった。私にはそれが何を意味するのか、わからなかった。だが、組み合わせを変えれば、封鎖は強化され、外に存在する変化はより止まりやすくなる。私は自分がしてしまったことを知っている。罪の大きさも知っている」

ラグが拳を握りしめた。彼は昔、村を離れて働いたときに見た景色を思い出しているのだろう。季節の偏りが人の生活をどれだけ剥ぎ取るか、彼自身も知っている。ミナは静かな怒りを滲ませながらも、すぐに口を閉ざした。彼女は行動で語るタイプだ。セラの目は、紙の空白を見つめつつもどこか遠くの芽を思い起こしているようだった。

「追放するべきだ」ラグが言い、そのまま顔を上げた。「リュネを裏切った者に同行を許すのか?」

他の者たちも頷きがちに顔を向ける。信頼を裏切られた痛みは、それだけで人を裁く力を持つ。オルドの手の震えは止まらない。彼はぐっと唇を噛み、鳴った空気を飲み下す。

僕の中で、前世の癖が囁いた。完璧に裁くべきだ、と。孤独な責任者として、証拠を突きつけ、罰を与える。だがその囁きはすぐに別の感覚に押しやられた。僕はこの旅で何度も、「選択の代償」を目の当たりにしてきた。誰かを糾弾することは、季節の流れを一方的に変えることと似ている。そこには取り返しのつかない欠落が生まれる。

「待ってくれ」僕は思わず声を上げた。口から出たのは予定外の硬さを含む言葉だった。皆が僕の方へ振り向く。ミナの眉がひそむ。ラグの表情には疑いが残る。

「僕たちは、誰かを罰することで問題を終わらせられるわけじゃない」僕は続けた。言葉は自分でも驚くほど落ち着いていた。 「オルドがしたことは許せない。だが、封印図は今、重要な情報だ。彼が持っていたからここまで来られた。真実を知る権利は僕らにもある。彼を仲間にするか罰するかを決めるのは、旅を終えた後でもいい。今は、先に進むために必要なことを優先しよう」

沈黙があった。ラグは顔をしかめ、しかしオルドの眼差しを見て何かを探した。オルドの肩は崩れそうで、だが彼はそれでも僕の言葉を聞いている。ミナは冷たい風を吐いて、やがて短くうなずいた。セラは長いまつげを震わせた後、紙を更に近くに引き寄せて言った。

「もし同行させるなら、私たちは彼を監視する。決して一人にはしない。どこかで砂を隠すような真似は許さない」

オルドはその言葉を血のように飲み込んだように見えた。彼は立ち上がり、丁寧に羊皮紙を畳む。指先に蝋の固まりがついて、細かな模様を描く。箱を閉じると、彼は僕に向かってひざまずいた。

「許されるかどうかは、あなた次第です、トワ