雲紡ぎの気球整備士
赤い糸が導く、空の綴り直し。
あらすじ
三枝透(イオ)は、雲海を漂う空船の整備士として、膜と鉄骨の継ぎ目を“読む”能力を持つ。救援用の大型気球や係留塔に走る見えない応力――金色に光る継ぎ目や、赤い糸の脈動は彼の日常であり誇りだった。しかし、評議会の監督と“補修”には代償があり、縫い直すたびに何かを失うという影が付きまとう。仲間のバロ、リュネ、オルダらと出会い、一本に集中した負荷を四方へ分ける古い方法を復讐することで、空の裂け目への対処を模索していく。記憶の喪失や規則と人の暮らしの狭間で、彼らが選ぶ修繕の手法と、赤い糸を巡る謎が物語を動かす。細やかな道具描写と空中生活の風景、仲間間の連帯が読みどころ。