夢を税にする司祭は愛した人を裁く

夢を税にする司祭は愛した人を裁く 第15話「第13章」

祭壇の光は逆光となり、被告予備の輪郭だけが橙色の粒子のように浮かんでいた。壇上の人物は背を伸ばし、観衆の前で小さく息をつく。半分だけ明かされた顔は、まるで誰かに引かれた帆布の裂け目のように左右が異なり、左側は影に溶け、右側は硬い光で切り取られている。

祭壇の光は逆光となり、被告予備の輪郭だけが橙色の粒子のように浮かんでいた。壇上の人物は背を伸ばし、観衆の前で小さく息をつく。半分だけ明かされた顔は、まるで誰かに引かれた帆布の裂け目のように左右が異なり、左側は影に溶け、右側は硬い光で切り取られている。

「――サイモン・ルーメン、被告予備。」読み上げる声が冷たく反響した。法服を畳んだように整った立ち居で、サイモンは俯きも見上げもしない。目だけが、人混みの上を漂うように揺れた。観衆のざわめきが床の石板に落ち、低いうなりとなって延びる。

ルキアンは祭壇の縁に立ち、手の平をじっと握った。結帯──彼の指先から空気に紡がれる細い糸が、まだ見えない。彼の胸の中で、誰かの笑い声がふっと薄れていく。朝の縁台で交わした約束、エルナの髪先の匂い、彼女の指の小さな傷の位置。思い出すと、その像の輪郭が溶け、紙に水彩を落としたようににじんだ。

「市民の選択を尊重する、と被告予備は言っている。——だが、その言葉は帳簿にもあるのだろうか?」ルキアンは声を、宣誓の間に響くように低めた。彼の声は額縁のように壇上へ赴き、サイモンの耳を掠める。

壇上の下、マリエルが短く息を吐いた。彼女の表情は硬く、掌に汗が滲んでいた。マリエルは以前からルキアンにとって最も苛烈で、時に最も正直な反論者でもあった。今は観衆の波に混じって、彼を静かに見守る。

「私は、真実を示す」とルキアンは言った。「結帯をもって、ここにいる者たちの見たものを紡ぎ、当事者の証言として束ねる。サイモン。あなたが公言した"譲歩"が市民の選択を本当に尊重するか、あるいは制度を生き延びさせるための芝居に過ぎないかを、ここで問いただす。」

空気が割れるように冷たくなった。市庁の高い窓から差し込む光が、舞う埃の輪郭を白く浮かび上がらせる。ルキアンは深く息を吸い、手の中で想像の糸を探した。結帯はいつも彼の体と記憶の接点を要求した。彼が他者の夢を税として徴収する制度のもたらす残酷を暴き、その責を明らかにするとき、代わりに彼の大切な記憶が一片ずつ剥がれていく。

最初の糸は音もなく現れた。空気に光る細い紐が浮き、ルキアンの指先から出てサイモンの胸元へと伸びる。触れると冷たく、針で刺すような感覚が竦んだ。サイモンの瞳に、突如小さな映像の粒が巻き起こる。会場の側面にいる一人、幼い羊飼いの顔が震え、頭を振る。夢の断片が切り出され、空中でゆるやかに繋がっていく。

「見たんだ。あの夜、徴税の夜に──町の子どもたちの寝息が、一斉に消えた。窓から奪われて、空っぽが残った。サイモン、あなたはその補填分配を命じた。子どもたちの夢を代価に、兵の食糧と官の年金を補ったんだと、誰かが見たと証言している」──証言が、結帯により一つの流れとなって会場を満たす。羊飼いの声、食堂の侍女の震えた言葉、税務の帳簿をめくる夜の役人のため息。個々の断片が絡まり、重い布のように現実を覆い隠す。誰もが知っていたはずのことが、今や"当事者の証言"として固まった。

観衆のざわめきが一瞬にして鎮まる。サイモンは顔を上げた。逆光に浮くその横顔が、二つの意思に割かれている。彼の指先にはまだ紙の端が残り、金のインクで「補填」と書かれた行が黒光りしている。ルキアンは糸をもう一本、サイモンの喉元に結び走らせた。喉の奥で、役人たちが交わした小声がぶつかり合う。

「私は……」サイモンの声は低い。光に縁取られた半面が険しげに揺れた。「議会は食糧配分の逼迫を理由に――市民を守るための措置だと……」

しかし、結帯は別の映像を引き出した。夜の帳簿、その裏に小さな注釈。補填の名目は一見弱者救済を示しているが、行間には別の振替が示されていた。旧制度の残債を消し、徴税装置の延命を図る項目。サイモンは自分の署名を見つめる。署名の下にある小さな丸印は、ある部署の印であり、そこには「回収の恒常化」と手書きの注記があった。

ルキアンは息を呑む。結帯は物語を嘘偽りなく継ぎ合わせるが、同時に、彼の心から何かを奪っていく。エルナの残像がまた薄くなり、あの小さな傷の位置を示す記憶が掠れた。彼は指先で額を抑える。血の匂いでも焦がした布の匂いでもない、もっと近しい匂いが、彼の脳裏から滑り落ちていく。

マリエルが前に歩み出た。彼女の瞳は苛烈で、だが問いかけは冷静だった。

「ルキアン、あなたは自らの代償を知っている。私たちは何度も見てきた。あなたが真実を武器にするほど、あなたは失う。エルナのことを――」彼女はそこまで言いかけて、言葉を飲み込む。会場に流れる空気が一層鈍くなる。

「あなたは、彼女を裁くためにここにいるのか。それとも、彼女を裁くという名のもとに"自分の復讐"を果たそうとしているのか。――その線は、どこにある?」マリエルの声は直球だった。観衆の中から小さな呻きが漏れる。糸の輝きが彼女の足元で一瞬揺れ、鮮やかな光となって床に影を落とした。

ルキアンは答えを探す。冷たい紙の感触ほどには、答えは固くない。彼の中に残るその小さな核、エルナへの痛みと愛が、今どのように裁きと交錯しているのか。彼は自らの胸に手を当て、曖昧な返答をするしかなかった。

「私は――裁きを望む。だが、それは復讐ではない。真実を明らかにして、同じ過ちを繰り返させないためだ。私の代償が何であれ、選択を取り戻すことが先だと、そう思っている」彼の声には疲労と決意が混ざっていた。

マリエルは首を傾げた。「選択を取り戻す、ね。だがあなたは他人の未来を"救済"するために、誰かの記憶を消すことを選んでいる。救済と喪失、どちらが重いのか、決めるのはあなたじゃない。守られるべき人々だ」彼女の言葉は刃のように鋭かった。会場の視線がルキアンに刺さる。

サイモンはゆっくりと笑った。逆光の中で、その笑いは悲しげで、しかし確かな意思を含んでいた。「あなたたちが正しいかもしれない。だが制度は死なない。私が譲歩を示すのは、民を守るために必要な時間を稼ぐためだ。完全な撤廃ではなく、段階的な修正を通して……」彼は言葉を続けるが、結帯が紡いだ映像は彼のその言い訳を裏返した。帳簿の裏に潜んだ手続き、補填が恒常化することを決定する議事録、そして密かに配分された「夢税再配分」の名簿。その名簿の端に、ルキアンの心臓が強く脈打った。

そこに、見慣れた名前があった。エルナ・ヴィアン。

ルキアンの指先が震え、記憶の輪郭が一層薄くなる。結帯は、その名を観衆の耳に投げた。観衆の中からはどよめきが起こり、一部の顔が青ざめた。エルナ──彼女は単なる一市民ではなかった。帳簿に"対象"として印され、補填の優先配分に記されている。

マリエルの目が鋭くルキアンを捕らえた。「あなたがその名を見るまで、私たちは彼女が何者かを知らなかったのか? それとも、あなたは知っていたのに――」

ルキアンは口を開いた。だが言葉は喉で切れ、結帯の糸が彼の内部でまた一つ引きちぎられる。エルナの小さな癖、笑うときに左目だけ細くなる癖が、ついに消えかけている。彼は必死にその像を掴もうとし、掌で空気を撫でるが、そこにはもはや手触りがない。

サイモンは荒い息をついた。「その名前は――特別な補填対象だ。戦時中の保証関