無人島診療所の看護師
藍が告げる、看護の選択。
あらすじ
桐生夏海は都会の看護経験を携え、碧島の小さな診療所にやって来た看護師だ。海の色を脈として「見る」特殊な感覚を持つが、それは身体に代償を残すため慎重に使わねばならない。島では小魚の大量死や子どもたちの咳が相次ぎ、診療所の医師や研究者、漁師、教師とともに現地調査と住民合意による対応を進める。外部検査や行政対応、旧工場をめぐる利害、風評と生活の維持――科学と共同体の間で揺れる島の決断と、能力を抱える看護師の倫理的選択が物語の中心だ。調査の過程、住民説明会、監視委員会の設立、現場での除染と長期モニタリングなど、現場医療と地域運営の葛藤が読みどころとなる。