戦場写真館の修復士
失われた写真の隙間を読むと、代わりに自分の記憶が消える――それでも名前を呼び続けるか。
あらすじ
海沿いの小さな町・白潮で写真館を営む修復士、相良和は、写真の「欠け」に宿る願いを読み取って失われた記録や名前を取り戻す力を持つ。しかしその力は禁忌で、使うたびに自身の記憶が失われるという代償を伴う。町に介入してくる公的機関「記録修正院」と、黒布と呼ばれる影の勢力が歴史を塗り替えようとするなか、和は修理屋の田島や記者の紺野、役場の安西ら仲間と共に、写真の欠けが示す真実を掘り起こしていく。光の保存器を用いた大掛かりな読み取りや夜の潜入といった危険な行為を通じ、問いかけられるのは「記録を守るとは何か」「誰が名前を呼び続けるべきか」という倫理と共同性だ。和の選択が町の記憶と自らの存在をどう揺さぶるのかが物語の軸となる。