灼天冷却師の星環紀行
熱を視る観測者と、星を触る王女。記憶と夜を選ぶ旅。
あらすじ
観測塔の若き解析者・雨宮澪は、海面と塔群に異常な熱の流れを見出すが、上層部はそれを公表しない。澪は「熱脈観測」によって金属や岩の内部を赤く視る能力を持ち、盲目の王女セレネが触覚で読む古い星図、坑夫カイと砂獣ルゥ、騎士長ユルハらと行動を共にしながら、地下と天頂炉を結ぶ謎めいた「黒い破片」の存在と熱の循環に迫る。王都では天文長官ヴァルドの政策が対外的な安全と引き換えに過酷な選択を促し、澪たちは技術と記録、そして失われていく記憶を天秤にかけながら夜を取り戻す術を模索する。科学観測と政治的決断、記憶の代償を巡る緊張と、人々が互いに手を取り合う場面が読みどころとなる物語。