異世界転生風車守の王国騎士

異世界転生風車守の王国騎士 第10話「第9章」

ユズは風車の羽根に手を触れたまま、下の広場で動く人影を見下ろしていた。今、彼女がしたいことははっきりしている――風を村のものにし続けること、ただそれだけだ。収穫の時期を前にして、風を外に奪われれば畑は枯れる。守るべきは目の前の畑の列と、畝ごとに呼吸を詰めている村人たちだ。妨げは、広場に据えられた三脚の上で銀色の箱を取り付ける騎士隊の人々。彼らは測定器と言っていた。測られた風は「記録」され、記録は誰かの手に渡る。ユズは知っている。その手が何を求めるかを。

ユズは風車の羽根に手を触れたまま、下の広場で動く人影を見下ろしていた。今、彼女がしたいことははっきりしている――風を村のものにし続けること、ただそれだけだ。収穫の時期を前にして、風を外に奪われれば畑は枯れる。守るべきは目の前の畑の列と、畝ごとに呼吸を詰めている村人たちだ。妨げは、広場に据えられた三脚の上で銀色の箱を取り付ける騎士隊の人々。彼らは測定器と言っていた。測られた風は「記録」され、記録は誰かの手に渡る。ユズは知っている。その手が何を求めるかを。

「ユズさん、あの男たち……ほんとに、あの箱で風を取られるのかね?」ハナが、腰に杖を当てて地面に立っていた。畑の角でいつも見守ってくれる、頼りになる老女だ。顔には疲れと決意が同居している。

「あの箱が風を勝手に持っていくわけじゃない。ただ、持っていく理由を作るんだ。『これだけ風がある』って数を示せば、誰かが『税』だと言える」ユズは低く答えた。手の下で羽根が冷たく振動する。自分で整備した風車の、木と鉄の香りが指先に残る。

広場にいるのは騎士団の計測隊と、その監視を務める数人の甲冑兵。隊長格の男は、ゆるやかな灰色の外套を羽織り、胸に刺繍された逆向きの風の紋章を隠すようにしていた。ユズはその紋を思い出すと、胸の奥が締めつけられる。逆風の旗――これがただの旗印ではなく、制度の印になる日が来るのかもしれない、と。

「願いを聞くために来たのではない。点検だ」隊長は広場の真ん中でそう告げた。声は冷たく、木箱の蓋のように音を切る。計測士が箱の横の小さな鍵穴を回すと、機械が低い唸りを上げた。細い針が紙の上を走り、音が鉄の歯車を叩くようにして刻まれていく。

ユズは下に降りた。梯子を踏みしめる足音が木に響く。下へ来れば、村人たちの顔が見える。怖がっている。怒っている。いつものように名も知らぬ不安が、列をなしている。

「そこに立つな」隊長がユズを睨んだ。彼の手は腰の短剣に触れている。短剣は弱いけれど、彼らの役割を示すしるしだ。ユズは舌打ちをする代わりに、静かに言った。「点検なら、村人の許可と記録をここに残しましょう。測ること自体を独り占めにされるわけにはいきません」

「許可は王国のものだ」隊長の言葉は、一枚の布を広げるように場を覆った。彼らは法律を振りかざす。ユズの腹の底がひりりとする。法律は数字と紙に強さを与える。彼らの箱は数字を作るための道具に見えた。

そこに割って入ったのはトオルだった。鍛冶屋の息子で、筋肉が縦に刻まれた青年だ。彼は計測器の台にかがみ込み、無遠慮にその側面の銘板を見る。トオルの指がひらりと何かを拾い上げ、ユズに差し出した。それは小さな金属の札で、焼き印のように小さな紋章が打たれていた。逆向きの風の紋――まるで小さな旗を凝縮したような印だ。

「これ、どこかで見たぞ」トオルが眉を寄せた。ユズの心臓が跳ねた。計測箱にささっていた小さな札には、騎士団長の外套の刺繍と同じ紋がある。だがここにあるのは機械の製造印。誰かが、王の管理の手を、この計測器にまで刻んでいる。

「いけない、そんなの――」ハナが声を震わせる。ほかの村人たちもざわついた。測定するだけのものが、実は設計図であり、手続きの先導なのだと気づき始める。

ユズは即座に決めた。彼らが数を作るなら、数は包みあいの手段として、公に晒すしかない。隠れた操作は暴かれ、公的な記録は村人の手に――少なくとも目の届くところに置かなければ意味がない。ユズはそう考えると、自分の声を大きくした。

「この箱の記録を、そのままここに貼り出してください。私たちの目で見ます。それと同時に、村の計測も始めます。独り占めされた数は、嘘になり得る。それを誰が決めるのか、村のみんなで見ます」ユズの言葉には、蓄えてきた疲労と決意が混ざっていた。

隊長は半笑いを浮かべた。「君は風車守か。だが測定は記録係の仕事だ。君が思うように公開はさせない」

「なら、やらせます」ユズは空箱に目を向けた。その目は、かつて彼女が風車の異常を見つけ、羽根一枚を繕った時のものだ。手元には小さな自作の計器がある。細い竹に巻いた針金、古い羽の切れ端、そしてトオルが作った小さな歯車。これらは騎士団の箱の正確さには及ばないかもしれないが、一つの証言にはなる。

「みんな、来て!」ユズが叫ぶと、村人たちがゆっくりと集まってきた。畝を離れ、荷車を止め、子どもたちを抱えた母親たちも来る。彼らの眼差しは不安と好奇心、そして期待で満ちていた。ユズは一つずつ機材を配り、やり方を説明した。トオルが黙って彼女の隣に立ち、器具の分配を手伝う。ハナは黒板を持ってきて、測定時間と風向きの欄を書き始めた。

「こうして、自分たちでも数を取るんだ。朝と昼と夕、それに、騎士が動かした時間の前後も記録する。ここに出す。隠しごとはできない」ユズの声は落ち着いていた。腕の中で小さな計器がカチカチと鳴る。これもまた、見る者に安心感を与える記号になるだろう。

騎士の計測兵は冷ややかに彼らを見ていた。しばらくして、不機嫌そうに言った。「公式な計測を妨害するなら、村への指導が必要になる。君らはただの農民ではないか。国家の秩序を乱すのか?」

「秩序のために票を奪うなら、その秩序が正しいとは限らない」トオルが言い返す。彼の声は硬かったが、ユズはその横顔に頼もしさを見る。村人たちも小さな声で同意し、黒板に自分たちの時間を書き込む。ユズはそれを見て、胸が熱くなった。計測の公開は彼らの抵抗の根拠になる。数はただの数ではない。見えるということが、選択を生む。

だが、騎士の箱はただ座っているわけではない。計測機の内側で、紙がせわしなく走り、印字機が小さな紙帯を吐き出した。計測兵がその紙を取り出し、紋章を確認する。ユズの手がぎゅっと握られる。まさにその紙には、小さな焼き印のような製造者の印が押されていた。逆風の旗の紋だ。

「見せろ」ユズは一歩前に出た。計測兵は手を上げた。「非公開だ」

だがユズは熱で揺れていた。もしこれをそのままにしておけば、彼らは「公式の数」を持って帰り、それが徴税の根拠になる。ユズは一瞬考えた。自分の能力を使えば、計測器を誤作動させ、刻まれている印を暴くことができるかもしれない。彼女が整備した風車は、村人が回したいと願う方向へ風を分ける。だが――一つの願いで回すと羽根が折れ、ユズ自身の呼吸が乱れる。ここで一人の願いを使えば、羽根は壊れかねない。ユズの胸に、いつもより深い痛みが走る。

トオルが耳元で囁く。「共有でやれば、羽根は裂けないって君が言ってた。ここは共有で――」

ユズはすぐにうなずいた。自分一人で答えを出すつもりではない。そうすることが、彼女がずっと説いてきた道だ。彼女は深呼吸し、すぐに広場へ向けて声を張った。「ここにいる全員! 今から皆で一緒に風車を回す。方向は、あの計測箱に向ける。皆の願いでやれば、羽根は折れにくい。お願いを一つにしよう!」

村人たちは戸惑った。立ち尽くしていた農夫が顔を見合わせ、子どもを抱いた母が眉を寄せる。だがすぐに、小さな声が一つ、二つと上がり、やがて合唱のようになった。風車守を失うことを恐れていたのは、ユズだけではない。誰も、自