月裏階段の測量宿
月の階段と消えかけた名を、糸で繋ぎ直す物語。
あらすじ
白環亭に暮らす測量士リュネ・アスターは、月光を手がかりに道と人の居場所を測る“月差測量”を仕事にしている。ある夜、空に白い階段が現れ、世界の位置がずれる異常が続発する。道が裂け、人々の輪郭が消えかかる中、リュネは糸巻きと水準器を手に失われた名を帳面に留め、月裏に伸びる逆さの町へと足を踏み入れる。王都の巡察隊とその代表ヴェルグは秩序のために“定着”を求め、リュネたちのやり方と対立する。測ることを通じて記録と選択の重さに向き合うリュネが、どの道を繋ぎ、何を守るのかを選ぶ過程が物語の核となる。