噴煙を読む通訳士 第5話「第4章」
陶土の匂いは、灰の匂いと混じっていた。回転台の軋む音、へらが土に触れる時の小さな湿った音、そしてかすかな息遣い。トトの工房は街はずれの角地にあり、屋根の一部が黒い粉で薄く覆われている。入り口にはこじんまりとした看板がぶら下がり、そこには小さな掌の絵が描かれていた。掌の中央には細い線が引かれ、どこかを指し示すように見えた。
陶土の匂いは、灰の匂いと混じっていた。回転台の軋む音、へらが土に触れる時の小さな湿った音、そしてかすかな息遣い。トトの工房は街はずれの角地にあり、屋根の一部が黒い粉で薄く覆われている。入り口にはこじんまりとした看板がぶら下がり、そこには小さな掌の絵が描かれていた。掌の中央には細い線が引かれ、どこかを指し示すように見えた。
ミオは赤い布を左手首で固く結び直した。布は周囲の灰色を吸い取るかのように鮮やかで、子どもたちが散らばっている工房のどの影よりも目立っていた。ラウルは少し距離をとって立ち、掌の震えを確かめるように地面に手を当てていた。セナは視線を落としながら慎重に周囲を見回し、エルデは何かメモするような素振りを見せたが、全員の注意は工房の奥でトトがこねている土の塊に向いていた。
「口がない人形だろうって? ああ、あのことか」トトは少年とは思えぬほど真面目な顔をして、指先に付いた土をぺろりと指でなめた。彼の手つきは無駄がなく、陶土を扱うときの所作が日常になっているのが分かった。彼の周囲には大小さまざまな人形が並んでいて、どれも小さく、だが丁寧に作られていた。口の部分は平らに削られており、代わりに胸のあたりには小さな蓋が二つ並んでいるものが多かった。蓋には薄い金属の輪がはめられ、指で回すとわずかなクリック音とともに外せる構造になっていた。
「見た目が意地悪だって言う奴らがいるんだ」トトは肩をすくめた。「けれど、この子たちは命令の出どころを隠すために作ったんだよ。誰が言ったのかを決めつけないために。蓋を開ければ、向こうが誰を指しているかわかる。複数の蓋を順番に開ければ、違う人が違うことを求めているのだって見える。口があれば、誰かが全部を語って終わらせてしまう。口がない方が、みんなで考えられる」
その説明を聞く間、ミオは手の残光を注意深く見た。トトの指先に淡い青白い輪郭があった。話している間、彼の指先は小さく震え、感情の温度が明滅していた。ミオはいつもの儀式を心の中で繰り返す。訳す前に三つ数える。三つ数えることで結論を急がず、選ばれてしまう命を増やさないようにする。目の前の世界を即座に一列に並べてはいけない、という前世の掟が、ここでも彼女を支えていた。
子どもたちが寄ってきて、無口な人形を手に取り、蓋の一つを開ける。蓋の中には小さな紙屑のようなものが入っていて、そこには農の印や水の流れを示す簡単な絵が描かれていた。子どもはまた別の蓋を開け、今度は井戸のシンボルの入った紙が出てきた。彼らは互いに見せ合い、指差しで議論し始める。言葉はなくとも、やりとりは活発だ。ミオはその輪に手を差し入れて、手話を受け取るときと同じ調子で指先を追った。自分の間訳を発動するために、話者の手を見なければならないというルールは、ここでも生きていた。紙の絵が誰のための指示なのかを伝えるのは、手の動きでしかできない。伝聞で他者の言葉を訳すことは、主語を反転させる危険があるのだ。
工房の空気が突然張り詰める。通りの方から鉄靴の音が近づき、声が二つ三つ重なる。王都の兵士だ。誰かが情報漏洩だの、異端の宣伝だのと通報したのだろう。トトは顔色を変えないふりをしたが、子どもたちがさっと隠れた。ミオは無駄な動きをしないために三つ数えた。二回目の三で、彼女は蓋の一つを静かに押しつけて閉じた。選ばないこともまた選択だと、彼女は知っている。
兵士たちは鉄の鎧を鳴らしながら入ってきた。長身の一人が鼻を鳴らし、ほこりと陶土の匂いに眉を潜める。「ここは噴煙の教えに反する物を作っていると聞いた。王命は明確だ。噴煙の文字は我らが解く。民はそれに従うべし。…それを曖昧にする物は破棄する」
トトは静かに頭を下げた。「俺はただ、子どもにもわかる形で危険を教えたいだけだ」
「形を変えるな、民への命令を曖昧にするな」兵士の声には恐れと誇りが混じっている。命令を単一化することが秩序である、という考えは、彼らの慣れた世界を守るための盾だ。だがその盾は、見えない脆さを抱えている。ミオは兵士の手を見た。指先は不器用で、感情の残光は鈍い赤に傾いていた。彼が恐れているのは曖昧さではなく、曖昧さの結果に自分が責任を負うことなのだ。
「証拠を見せろ」中堅の兵士が言う。彼はもう一歩前に出て、トトの並べた人形の箱の蓋を鷲掴みにした。子どもが悲鳴を上げる前に、トトは箱の中身を抱き寄せようとした。男の手が一つの人形を掴み、蓋を無造作に投げ捨てる。陶土が床に打ち付けられ、乾いた音が工房に響いた。人形は割れ、中から何かが転がり落ちた。
それは小さな円盤だった。金属製で、古びた紋様が刻まれている。王の印章に似ているが、どこか擦り切れて、元の持ち主の手の油が残っている。兵士の目が光る。彼はそれを拾い上げ、顔に近づけて視線をやる。そこには小さな欠けと、文字のような痕跡が残っていた。兵士は誇らしげに口角を上げた。「見たか。これは王の印だ。噴煙を読み、民を導いた者の片割れだ。こいつらはこれを嘲るために使っているのだろう」
トトの顔色が真っ青になる。彼は手を伸ばし、あの円盤を掴みかけたが、兵士はそれを掲げて見せつけるように振った。「命令は一つに限る。誰もそれを疑ってはならない。疑う者は取り締まる」
その瞬間、セナが動いた。彼女はいつもは堅苦しい公務員の顔をしているが、その目は弾けるようだった。彼女は兵士の横を素早くすり抜け、崩れた箱の下に手を入れた。そして、素早く人形を抱えて自分の胸に隠した。兵士が振り向いた時、彼女は既に一歩後ろに下がっている。咳をするふりをしながら、彼は何事もなかったかのように工房を見回した。トトは一瞬驚き、次いで涙が滲んだ目でセナを見た。
「何をしている」兵士が問い詰める。
「検分だ、検分だよ。民に混乱を与えかねないものをこちらで整理している」エルデが即座に答える。彼は文書の匂いに埋もれた顔で、冷静に兵士に書類を差し出すふりをした。だがミオはセナの小さな動きを見逃さなかった。彼女の手の残光が小さく光り、そこに混乱と決意が交差していた。
セナは自分の胸に抱いた人形の匂いを鼻先で吸い込み、それが単なる土であることを確かめた。印章が出てきた箱の中に、もっと多くの奇妙なものが入っているかもしれない。彼女が抱えるものはただの人形ではない。彼女は息を整え、兵士たちが去るまでの時間を稼ぐ必要があった。公務員であり、王家への忠誠を唱え続けてきた彼女の行為は、内側から何かが変わり始めている証でもあった。セナは心の中で父の影を思い浮かべた。父が記録に残した空白のことを。父を裏切るつもりはないが、真実を消す側にもなりたくなかった。
兵士たちは人形の破片と金属の円盤を手に、さらに周囲を調べ始めた。彼らの動きが荒っぽくなる。ラウルは黙って動き、震える掌を工房の梁に当てた。彼は手話で何かを示した。ミオはその手を見て、間訳を起動した。ラウルの手は「逃げろ」でも「隠せ」でもなく、「保て」と語っているように見えた。彼の指先の残光は深い緑になり、恐怖よりも守る意志が強い。ミオは三つ数え、口のない人形を作る意図の別の側面を示す仮訳を並べた。
「この人形は、誰かの言い分を押し付けるための