山小屋郵便局の修理師は町の記憶を残す
古い箱が、誰かの時間を一度だけ映す。
あらすじ
鷹見直は山あいの小さな山小屋郵便局で修理師として働く男だ。彼の手が触れると、古い道具や手紙に残された疲れや断片的な映像が一度だけ浮かび上がるという能力がある。そんな局に、役場の統廃合案が持ち上がり、直は建物や記憶を守るか、効率を優先する外部の計画に従うかという町全体の選択に直面する。力を使うたびに消耗する代償や、仲間たちと手を取り合って記録や交換会を開く過程、そして誰に何を見せるかを悩む静かな葛藤が物語の中心だ。手仕事の描写と、修理を通じて浮かぶ小さな映像が町の過去と現在を繋ぐ読みどころである。