夜間図書室で言えないふたりは本音を言う練習をする
紙に残る本音を、守るか、示すか。夜の図書室で選ぶ若者たち。
あらすじ
夜の図書室を舞台に、白瀬燐と春野由梨は「共痕」と呼ばれる、二人で共同制作した物にだけ残る本音の痕跡を作ることで、本当の気持ちをそっと確かめ合っている。だが、学校の評定盤や監視の目がその痕跡を評価や投稿に取り込み始め、二人と仲間たちは自分たちの言葉を守るか、公に問うかという選択を迫られる。紙や糊、手の温度をめぐる儀式的な描写と、監視・評価制度に対するささやかな抵抗の行動が物語の中心だ。ゆっくりと重ねられる共同作業の繊細さ、仲間と交わす小さな決意、制度と個人の関係を問い直す場面が読みどころになる。